聖地巡礼のバイク旅

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「琵琶湖ツーリング」 サザキさんLIVE&西国札所巡礼(後編)



ライブの後は琵琶湖を渡って湖東方面へ


サザキさんのライブが終わって、ご本人にちょこっとだけ挨拶して、イベント会場を後にしたのは正午を少し回った時だった。

ここから県道を南下し、琵琶湖大橋を渡って湖東方面へ行く。
渡った後は琵琶湖の湖畔を北上して次の行き先・西国三十三カ所の札所である長命寺を目指す。

ここまで三十三ヵ所(番外札所を足すと四十近い)の半分程度は行けたのだけど、残りまだ半分の状態だった。
四国遍路は昔の悪ガキカルテットで行ったけれど、西国巡礼は一人旅。気の向くままでいいと考えたことが結果としては良くなかった。

誘う事も誘われる事も無いことを理由にしてはアカンのだろうけど、自分自身で足を遠のけてしまったことは事実。

しかし、バイクを買って巡礼ツーリングと称して再開したら、走る楽しさと詣でる喜びとが相俟って一気に10か所くらい参拝することが出来た。

そして、残りは京都市内の5カ所、バイクではいけない1カ所(周辺道路はバイク通行禁止道路)、滋賀県北東部の3カ所、そして結願の1カ所となった。

今回は残りの10カ所のうち、滋賀県湖東に位置する「長命寺」と「観音正寺」の2ヵ所。
まずは琵琶湖畔にある長命寺山の山腹にある。




懐かしい「琵琶湖バレイスキー場」

JR比良駅近くのイベント会場からは県道558号を南下していく。
途中、昔よく来た「琵琶湖バレイ」の入り口前を通り過ぎる。

僕の学生時代はスキーの全盛期と言って過言ではないだろう。
映画「私をスキーに連れてって」が大ヒットしたし、週末の大阪駅はスキー板を抱えたカラフルなダウンジャケットに身を包んだ若者たちで溢れた。

今、グランフロント大阪として開発されている地域はスキーのツアーバスの乗り場として利用されていた。
会社からの帰り道、スキーに行く同年代の人たちを見て羨ましく思ったし、さらには車の屋根にスキーキャリアを積んで高速を走る車なんて見たら嫉妬ものだった。

琵琶湖バレイスキー場は京阪神に最も近い本格的なスキー場だ。

▼この山系のほぼ中央が琵琶湖バレイスキー場
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阪神タイガースの球団ソングで有名な「六甲山」にもスキー場はあるが、これは人工雪のゲレンデでスキー場というより雪遊び広場と言った方が良いかもしれない。

この琵琶湖バレイは本当に良く来た場所だ。

ナイター設備があってオールナイト営業をやっていたので、金曜日の夜に大阪を出て朝方まで滑って朝日が昇る頃に家に着く感じの週末を何度過ごしたことか。

27歳の時に結婚したが、すぐに妻をスキーの世界に引き込んだ。
それ以前は友人たちと、今は亡きJRシュプール号や前述のバスツアーで信州に行くのがメインだったが結婚してからは妻と行くスキーがメインになった。

まだ子どもができる前だったし、新婚の新鮮さもあって1シーズンで10回は来たと思う。
普段は琵琶湖バレイで安上がりのスキーを楽しんで、年に1回は北海道に行くパターンを何シーズンか過ごしたが、子どもが出来てからはスキーから遠ざかってしまった。




バブルの頃を思い出した湖西岸

琵琶湖バレイを通り過ぎてさらに走ると道路は琵琶湖の湖西岸沿いを少し走る。
この辺は企業や大学のセミナーハウスや恐らくヨット部などの建物が並んでいる。
船舶免許(旧の4級)を持っているので、いつかはボートやヨットなんて憧れたものだ。

「私をスキーに連れてって」に続いて、「彼女が水着に着替えたら」という映画も流行ったと思う。
同じホイチョイプロダクションの作品だ。
この時はバブル真っ盛りだったが、そんな時代背景を象徴するような娯楽映画だったなあ。
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なので、こういう場所でヨットのマストなんかを見ると心が騒ぐが、経済的には夢のまた夢だ。
そんなことを思いながら走っていくとやがて琵琶湖大橋に近づいてきた。
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湖西の堅田と湖東の守山を結ぶこの橋は、歴史は古く僕の年齢より3週間ほど年上だ。
この橋のお蔭で東西の行き来が便利になったことは言うまでもない。あと数年で無料になるようだが、今はバイクだと100円かかる。しかし、100円の価値は相当高いと思う。

約1400mの距離だが、天気が良いと左右に美しい琵琶湖の景色が広がる。
歩いて、あるいは自転車での通行も可能なので、風のない天気のいい日ならカメラを抱えて歩てみるのもいいかもしれない。


このライブ会場から次の目的地までの琵琶湖湖畔の走行風景をYou Tubeにアップしています。
良ければご覧ください。





今度は湖東岸を走り、長命寺へ

湖東の湖畔を走る湖岸道路(県道559~26号)をひたすら進むが、左手には琵琶湖が広がる。
今日は本当に琵琶湖が美しく見える。さっきまでいた、琵琶湖バレイの麓辺りも完璧に見渡せる。

さらに進むと「マイアミ浜」という名のキャンプ&水泳場がある。
淡水湖なので、さすがに「海水浴場」ではないことに妙に感心した。

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そして長命寺という名の交差点を曲がるとすぐに参道がある。
目的地の長命寺は山の中腹にあるが、その麓から石段の参道が整備されており、これを登って境内に入るのが本来の姿なのだそうだ。


その石段の数は約800あるという。さすがに西国の札所である。
さすがと言ったのは、西国三十三カ所の札所の多くは標高の高い場所に境内があり、そこには徒歩でしか行けないような「難所」が多いからだ。

僕の自宅には西国三十三カ所の朱印を押した掛け軸がある。これは祖母が巡礼して頂いてきたものだ。
祖母は僕が16歳の時に亡くなったが、晩年は足腰が弱っていて平地をしっかり歩くこともままならなかった。

そんな祖母が、この難所を歩いていたとは驚きとともに改めて「おばあちゃん、すごかったなあ」と思ってしまう。

さて、この長命寺だが、今は車での参道が整備されていて、9割方は車で行ける。
残り100段だけ、自分の足で上がりなさいということだ。
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しかし、この100段も楽ではない。山門をくぐったときには息が切れている。
手水場では、不謹慎な事だが、カラカラの喉を潤わせて頂いた。
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続いて観音正寺へ

続いて向かった場所は同じ近江八幡市だが、長命寺のある琵琶湖湖畔からはかなり東側に位置する。
その為に安土(かつて織田信長が築いた巨城があった場所)を抜けていくのだが、この辺りは歴史ファンにとっては面白い場所だろう。

僕も無類の歴史好きなので、時間があれば寄ってみたかった遺跡などがたくさんある。
この観音正寺へは地図上の当寺の位置より、かなり東側から回り込んでいくことになる。

その為に東海道新幹線の高架下をくぐるわけだが、その時、猛スピードで走る新幹線を間近で見ることが出来たのはラッキーだった。

飛行機もそうだが、仕事柄しょっちゅう乗るのだが、間近で見ることができると何故か子どものように心が騒いでしまう。それはまだ子どもだからなのだろうか。

さて観音正寺も西国の典型的な札所だ。駐車場からの参道は長い石段の連続だった。
さっきの長命寺の100段なんて騒ぎじゃない。

この観音正寺への車での参道は途中から有料化されていて、その料金ゲートで「駐車場から少し上ります」と呟かれたことが少し気にはなっていたが、自身の経験では西国4番の施福寺に次ぐ難所だった。

15分くらいだろうか、延々と石段(あとで確認したらその石段の数は440段だった)を登り漸く辿り着いた境内から望むと東近江の田園や遠くには近江富士(三上山)も見渡せる絶景だった。
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そして標高433メートルに位置する境内では紅葉がチラホラ見られ、それはそれで美しい。
ちなみにこの観音正寺は近江国(滋賀県)のほぼ中央に位置するが、この近江国は日本のほぼ中央でもある。
したがって、観音正寺は日本のへそとも言える場所にある。
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帰路での怖い出来事

この観音正寺の参拝を終え、あの石段を下っている途中、四国を一緒に回った友人から電話があった。聞けば、今夜は午後7時から地元の防犯委員会の定期パトロールの日だという。

しまった、すっかり忘れていた。

この時点で午後3時間ごろだったので帰阪するつもりではいたのだが、Yahooナビで確認すると一般道を帰ると3時間近くかかる様子。

ギリギリ間に合うと思うが、帰ってからバタバタしたくないのでもう少し早く帰りたい。
やはり高速道路しかないのか。しかし、高速道路は怖い。

マジェスティはタイヤ径が小さいこともあり道路のバンプを拾いやすい。高速で走っている時にはそれが原因でハンドルがとられることが怖い。

そしてこれはマジェスティに限ったことではないが、横風を逃がしにくい構造のバイクなのか、その横風が怖い。
単独で走っている時には気にならないが、制限速度で高速道路を走る自分にとって、風で流された時に猛スピードで追い抜いていく車と遭遇したらと思うとやはり怖い。

なので、風が強い日はなるべく高速道路は使いたくない。


この日、近江八幡から瀬田までは国道8号線で戻ってきたが、途中は結構渋滞していた。
これで帰宅時間はさらに遅れる。

しがたって、やむを得ず瀬田からは高速道路(京滋バイパス)を使う事にした。京滋バイパスから第二京阪自動車道を経由すると自宅までの距離は約45kmで40分程度で帰れるはず。

この40分間なら神経を集中することも可能だろう。

途中、時速70km程度で走るトラックの後ろについていたので、横風を気にすることなく快適に走ることが出来たが、久御山ジャンクションに近づくと道路の標高が高くなり、周囲は田んぼだらけなのでロードサイドには防音用の高い壁もない。
よって風は前後左右から吹き晒す。

最初から最後まで時速80km前後をキープし最左車線を走っているのだけど、横風を感じるとアクセルを緩めることもある。

3車線の最左車線を走っている僕を猛スピードでギリギリに追い越し、また僕の前に被さるようにしてくるワゴン車がいたが、これには参った。

既に走行風景の撮影用のアクションカメラのバッテリーは切れていたので、この危険運転の様子が撮影できなかったことが残念。

追い越し車線を制限速度前後で走っていたのならまだしも、2つある走行車線の左側を走っている僕をこんな形で追い抜いていくとは危険運転と呼ばずしてなんという。
幸いにも事故には繋がらなかったが、冷や汗ものの出来事だった。



無事に帰宅

こんな嫌な出来事もあったのだけど、なんとか無事に帰宅できたのは午後5時半ごろ。
一方、改めて思ったのはサザキさんの「シチュー」を改めて聞いて、久御山の手前で高速道路を降りても良かったんじゃないかということ。

「急いては事を仕損じる」という諺もあるように無理はしちゃいかん。

自分のライディングテクニックやバイクの特性を良く知った上で、安全にバイクライフを楽しんでいこうと改めて思った日でもあった。



(おわり)
この記事の目次

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