今回は、前回のブログ(商船三井ミュージアムへ行ってきた!)の後編として「さんふらわあ むらさきの乗船見学レポート」をご覧いただきたい。
(前編「商船三井ミュージアムへ行ってきた!」はコチラ)
とにかく、はじめて「さんふらわあ むらさき」の船内に足を踏み入れるので、ドキドキとワクワクが止まらなかった。
少しマニアックな視点になっているかもしれないが(笑)、そのことを含めてこの船の大いなる魅力を感じ取って頂ければと思う。
- さんふらわあ むらさきの概要
- 今回の見学ルート
- ゲートや甲板が進化している
- エレベーターで8階へ
- 8階は最上級の客室フロア
- 7階は上級の客室フロア
- お風呂が広い
- 景色が素晴らしい
- プロムナードがめっちゃ広い
- レストランがめっちゃ広い
- 「ず~っと感動」
さんふらわあ むらさきの概要
まずは、この船の概要を紹介させて頂く。
概要
「さんふらわあ むらさき」のデビューは2023年4月。
姉妹船の「さんふらわあ くれない(2023年1月デビュー)」と共に大阪南港と大分県別府港を結ぶ航路に就航している船であり、国内に就航しているフェリーでは最新鋭の船だ。
この船の最大の特徴はLNG(液化天然ガス)を燃料としていることだと思う。
硫黄酸化物(SOx)をほぼ排出しないことで、窒素酸化物(NOx)と二酸化炭素(CO2)の排出の大幅な削減が可能となるそうだ。
環境への配慮という点ではとても優れた船である。
諸元
下表の通り、大阪南港~大分県別府港を就航していた先代「さんふらわあ あいぼり/こばると」と比較をしてみた。
旅客定員や車両搭載数は変わらないのに、全長・全幅共にかなり大きくなっていることがわかる。つまり、一人当たりの専有面積が増えたことになる。
実際に定員一人当たりの内装面積は6.9㎡から10.9㎡へと大幅に拡大し、パブリックスペースの面積も約3.6倍になったそうだ(出典:Wikipedia)
大阪南港~鹿児島県志布志航路の「さんふらわあ さつま/きりしま」もゆったりした空間が確保されているが、むらさき(&くれない)の広さはその上をいく感じがする。
これは、実際の広さに加え、開放感を創出したデザイニングがなされているということなのだろうか。
そして、加えて内装の上質感が高いので、本当に高級ホテルの中にいるような雰囲気だった。
この後はその上質感たっぷりの船内の模様をご紹介しようと思う。
今回の見学ルート
最初に今回の見学経路を紹介させて頂く。
まず船尾の車・バイク用の乗船口から徒歩で入り、甲板中央のエレベータで8階へ行き、その後は下図①のスイートルームエリアを最初に、⑩の6階のレストランまでを見学させて頂いた。
通常、乗り物を伴わない徒歩客は専用のタラップから乗船するのだが、今回は船尾から乗船させて頂くこととなった。
普段、徒歩客が船尾から乗船することはあり得ないので、とても稀有な体験をさせて頂いたこととなる。
そして、そのことにより色んな気づきも得られることになった。
ゲートや甲板が進化している
その気づきの最初は、乗船ゲート(緑のタラップ)に足をかけた時、「滑り止めのような加工が施されている!」と感じたことだ。
バイクで乗船する時、床表面がツルツルのタラップだと、特にそれが濡れている時などはスリップしないようにかなり慎重にならざるを得ない。
これはバイクで乗船する時のストレスの一つなのだが、このむらさきのタラップだとその心配はないと感じた。
さらに、内部に入り甲板を歩いていて気づいたことがある。
それは、むらさきの甲板の床には突起物がとても少ないように思えたことだ。
フェリーでは、甲板の床に車両やバイクのラッシング(固縛)ベルトを固定する大きな金具が据え付けられているのをよく見かけるが、ここではそれが見当たらない。
バイクの場合、その大きな金具を踏んでしまうと転倒するリスクがあるので、それを避けながら慎重に運転する必要に迫られるのだが、むらさきの場合はここでもストレスフリーになっている。
滑り止め加工がなされたゲート(タラップ)、そして突起物が殆どない甲板は、バイク乗りにとって心理面で大きな安心材料だ。
エレベーターで8階へ
では、客室の見学レポートに移ろう。
最初にご案内頂いたのが8階にある最上級の客室フロアで、4階甲板からは中央エレベーターを使って8階に向かった。
8階にエレベーターが到着すると、目の前に巨大な空間が現れる。
船内中央部分の6階~8階は吹き抜けのアトリウム空間となっており、まるでどこかの劇場の中にいるようだ。
さて、個人的なことだが、8階では知り合いの乗務員さんに会えるという嬉しい出来事があった。
実は、僕はむらさきの乗務員さん(偉い方です)と同じバイク乗りという関係で知り合ってもう5~6年になる。
この日、見学させて頂けることが決まった直後、この方に連絡してみたところ、ちょうど乗務だったようで8階のエレベーター扉の前で待っていて下さった。
お仕事中、わざわざ来て下さってありがとうございます。
お会いできてうれしかったです。
8階は最上級の客室フロア
くれない/むらさきは8階建ての構造で、その8階は最上級の客室「スイートルーム」のフロアになっている。
くれない/むらさきの客室は「世代を超えて家族が集い、船旅を楽しむ。そんな家族のつながり=きずな(KIZUNA)を大切にする」ことをコンセプトにした設計になっていて、その象徴の一つとしてコネクティングルームが設けられていることだ。
コネクティングルームとは、スイートルームの和室と洋室を繋げて使うことだが、これにより4つの広いベッド、お座敷、ソファ、広いプライベートバルコニー、大きなお風呂とシャワールームなどが一つの空間の中にあることになる。
例えば3世代家族で乗船する場合などは、家族の団欒をそのままに航海が楽しめるだろうし、家族に限らず友人たちとの旅行の際でも楽しい懇親の時間が過ごせるだろう。
こうなると一夜を過ごすというより、ここで暮らしたいという衝動に駆られるのではないかと思えてしまう(笑)
セミスイートも凄い
下の写真はセミスイートのお部屋だが、ここにもバルコニーがあり、そこにはチェアが置いてあることが分かると思う。
ここは左舷側の部屋だが、右舷側だと別府に向かう途中に神戸の夜景が見えるのだろう。そしてその先には明石海峡大橋もある。
バルコニーの椅子に座って静かにワイングラスを傾け、100万ドルの夜景や明石海峡大橋のイルミネーションを見ながら通過するなんて優雅な旅を経験してみたいものだ。
スイート利用者専用ラウンジ
くれない/むらさきのスイートルーム利用者の特典は専用のラウンジを利用できることだ。
ここには広く深々としたソファが置かれていてゆったりと寛げることに加え、コーヒーやアイスクリームを無料で楽しめるカウンターも設けられている。
JALやANAには、プレミアムメンバーが搭乗前に利用することが出来る専用のラウンジがあるが、そんな感じの特別な空間がここにもある。
違和感の謎
ところで、8階エリアを見学させて頂いている時に小さな違和感を覚えた。
さつま/きりしまも8階が最上級の客室フロアなのだが、さつま/きりしまの8階に感じた「開放感や賑わい感」がむらさきには無いように思えたのだ。
この違和感はどこからくるのだろうとずっと考えていたのだが、撮った写真を見たり、船内見取り図などを見ていて少しそれに気付いた。
さつま/きりしまの屋上展望デッキは8階にあり、その屋上展望デッキと8階のパブリックスペースとは、扉を挟んで繋がっている。
つまり、さつま/きりしまでは、8階から外の空間に出ることが出来るし、その分、人の出入りも多い。
僕が感じた開放感や賑わい感はこういうことだったのだろうと思う。
一方、くれない/むらさきは、8階にも船尾側に小さな展望デッキがあるが、メインの展望デッキは7階の左舷・右舷に設けられている。
したがって、7階以下の利用客は基本的には8階には来ないのだろう。
ここでようやく違和感の謎が解けた。
くれない/むらさきの8階は開放感が無いわけでも閉鎖的なのでもなく「そこはスイートルーム利用者専用の空間」となっているからなのだと思った。
つまり、いい意味で閉鎖された上質な空間の中で静かなひと時を味わえる。それが8階スイートルームエリアなのだと思う。
7階は上級の客室フロア
次に7階をご案内頂いた。
7階はデラックスルームやスーペリアなどのスイートの次に上級クラスの部屋が並ぶフロアとなっている。
デラックスルーム
セミスイートと比較すると、デッキはないが窓があるので解放感もある。室内も広いし、ソファやトイレ/シャワールームもある。
もう充分すぎる高級感で、優雅な船旅を楽しめることは間違いない。
スーペリアルーム
デラックスと比較すると窓がないし広さもやや劣るような感じだが、室内にデスクがありトイレやシャワールームもあるのが嬉しい。
内部の造りはデラックスなどと同様に上質な感じだし、何より完全なプライベート空間が確保されているので安心快適だ。
僕は、さつまでデラックスルーム、そしてスーペリアルームを利用させて頂いたことがあるが、もう充分すぎるほどの快適性だった。
新造船であるくれない/むらさきでは、同等かさらなる快適性が確保されているのだろう。
ペットも一緒に
デラックスルームには、「WITH PET」という部屋も設けられており、ペットと一緒に宿泊することが出来る。
また、別にドッグランルームもあり、ここにはワンちゃんがおしっこをするためのポールまで設けられていた。行き届いた配慮だと思う。
デラックス以外のお部屋を利用する方には、別室にペット用の個室も用意されているので、常に会いに行ける。
これだと、飼い主もペットもお互いに寂しくならないよね。
お風呂が広い
そして7階には展望大浴場がある。
今回はなんと女性用のお風呂を見学させて頂いた。
勿論、利用時間外なのでどなたも中にはいらっしゃらないが、緊張感と敬意を持って中に入らせて頂いた(笑)
エントランス/パウダールーム/脱衣場の造りや広さは、さつま/きりしまと大きな差はないと感じた。
一方、浴室内は広々としており、洗い場には左右の仕切りも設けられているのは嬉しい。
なお、下の写真では、浴槽と隣接して洗い場が設けられているが、これは女性用のお風呂だけの設備だそうだ。
浴室内から見る外の景色もかなり開放的だし、快適なお風呂タイムを過ごすことが出来ると感じた。
景色が素晴らしい
展望デッキは7階がメインになっているようで、左舷側・右舷側にそれぞれ展望デッキが設けられている。
ここは左舷側のデッキで、屋上ではないので広くはないがここからの眺望は十分だ。
プロムナードがめっちゃ広い
そして、6階へと降りてきた。
ここは中央部分にパブリックスペース/プロムナードがある。
そして、船内の中央部分がアトリウム空間であることは既に述べたが、天井にプロジェクションマッピングが投影される。
そして、この中央部分に階段が設けらていて、それはさしづめ「宝塚大劇場の大階段」を彷彿させる。
▼の写真は7階から撮ったもの
▼の写真は6階から撮ったもの
そして、この大階段を中心としてパブリックスペースが左右に広がっているのだが、ここがまた広く、かなりの開放感を覚えた。
ソファやテーブルなどが至る所に配置されているので、一人で読書に勤しんだり、友人や家族との懇談・交流の場に使えそうだ。
さらに、こんな風にキッズ向けのスペースも確保されていて、ここにもKIZUNAコンセプトが窺える。
この後、プライベートベッドルームなどを見学させて頂いたのだが、この紹介は割愛することとさせて頂く。
レストランがめっちゃ広い
最後にレストランを見学させて頂いた。
レストラン全体は、先代のあいぼり/こばるととは比較するに及ばず、さつま/きりしまと比較してもかなり広々としている感じがする。
まず、テーブルがあるフロアが広いのでかなりの人数を収容できそうだ。
そして、大きな窓に面したカウンターは先が見えないくらいに長く設けられていることは特筆すべきことだ。
奥のテーブルフロアもとても広々とした感じだ。
つづいては、料理が並ぶエリアだ。
さんふらわあと言えば豪華バイキング料理が有名だが、これだけ広いとどれだけの多くの料理が並んでいるのだろうと思う。
あくまで外側から見た感じだが、料理を取る人の動線がスムーズになるようなレイアウトになっていると感じた。
くれない/むらさきのレストランでは瀬戸内海に因んだ食材や郷土料理が楽しめるようで、「讃岐うどん」もあるらしい。
その讃岐うどんにさんふらわあ名物のカレーをかけた「カレーうどん」なんて美味しいだろうな。早く食べてみたいものだ。
「ず~っと感動」
このように約1時間の船内見学ツアーを大いに楽しませて頂いた。
2023年中には一度は乗ってみたいと思っていた「くれない/むらさき」だが、残念なことにその機会を得ることが出来なかった。
ただ今回、こうやって船内を見学させて頂く機会を得て、見てみたかったところを完璧に見せて頂いた。
僕は、今年の夏までには「さんふらわあ端っこスタンプラリー」にチャレンジし、その途中で実際にこの船に乗って瀬戸内海の航海を楽しみたいと目論んでいるが、その時のための良き予習の機会になった。本当に感謝しかない。
というわけで、今もなお「ず~っと感動」の中にいるが、さんふらわあ むらさきの乗船見学のレポートはここまでとさせて頂く。
最後まで読んで頂き本当にありがとうございました。
そして、商船三井さんふらわあの皆さま。
末筆となり誠に恐縮ですが、この度は乗船見学にツアーに参加させて頂き本当にありがとうございました。心より深く御礼申し上げます。
さんふらわあが大好きだ!
【追伸】
今日(1月8日)、そして1月12日(金)~15日(月)は、南港ATCにて「商船三井ミュージアム」が開催されています。
時間は10:00~18:30( 日・月曜日は18:00まで)ですので、お時間のある方はぜひ!