聖地巡礼のバイク旅

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「四国遍路ツーリング」再開(4)

修行の道場・土佐国へ

 

鯖大師を辞した後、室戸岬にある第24番の最御崎寺を目指し、ひたすら国道55号を走っていく。

このルートの多くは海岸線に沿って進むことになる。

つまり左手には太平洋の広大な景色を見ながらの走行なのだが、今回の「青い空」と「碧い海」とのコラボは今でも目に焼き付いている。

今から考えれば、途中通ってきた美しい海岸に降り立ち記念写真の何枚かでも撮ってくれば良かったとちょっと後悔しているが、アクセルをひねりながら目に飛び込んでくる動く絵を止めることを躊躇したのも事実だ。
そんな中で一枚だけ撮影した写真がこれ。
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改めて歩きのお遍路さんたちに脱帽
 

泊まっていた薬王寺から鯖大師本坊までが約20kmで20分程度、そして鯖大師本坊から最御崎寺までは57kmで70分程度かかる。

ただしこれは車やバイクでの話。徳島県と高知県の県境、例えば海部・宍喰・甲浦あたりでは少し信号があるが、その他はほとんど自動車専用道路状態である。つまりノンストップで走ることができるのでこれくらいの時間で移動できる。

 

一方、歩き遍路さんにとってはそうはいかない。

薬王寺から最御崎寺までは77kmあり、時速4kmで歩き、休憩を取らないとして単純に19時間かかることになる。

当然休憩を挟まない訳にはいかないから、実際には2日間をかけて歩くことになる。

 

そしてこのルートの大部分は歩道が整備されているが、海岸線など一部では歩道がないところもある。つまり車道を歩かざるを得ない。

さらにその歩道がない区間の自動車の法定速度は50km/hなので実走行速度は60km/hは超えてくる。

 

ビデオにも写っているが、後ろから猛スピードで迫ってくる自動車たちは相当怖いだろうな。
自治体による歩道の整備を進めて頂きたいと切に願うとともに、我々の安全運転の必要性を改めて実感した。




この徳島から室戸までの美しい風景もビデオに収めているので、よければ見て下さい。
収録時間は7分30秒です。


You Tubeへのリンクはこちらです。
 

 

 

最御崎寺の前に寄ってみたかった場所

 

弘法大師は若い頃に四国のあらゆる場所で修行を行った。その所縁のある寺院が八十八箇所や別格二十箇所の札所となっていることは既に述べた。

 

一方、寺院などではなく山岳や海岸などでも修行を行ったという伝説が残っている。その中でも最も有名なのが「御厨人窟(みくろど)」である。

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お大師さんは、背中は岩山、目の前は海岸(岩場)という環境の中でひたすら修行に励んだという。

この時、岩山の下の洞窟に篭って修行をした際、お大師さんが目にしていたのは、空と海だけだったという。そして、この時、自身を「空海」と名乗ったのだそうだ。

 

その「御厨人窟」は室戸岬のすぐ手前にあり、ちょっとした観光地化している。前回の遍路の際、この前は間違いなく通ったのだが寄ることはせず、これがちょっとした後悔になっていた。

 

お大師さんが篭って修行をした洞窟は、かつては中まで入れたのだが落石の恐れありということで現在は立ち入り禁止になっている。

ここには鳥居が設けられていて、お遍路さんにとっての一種の聖地として管理されている。

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そして最御崎寺へ

 

ここまで最御崎寺と書いてきたが、これは「ほつみさきじ」と読む。「みさきじ」は理解できるが、「ほつ」は読めないなあ。

 

そんな話はどうでもいいが、この最御崎寺は室戸岬灯台の真北に建っている。とは言っても、最御崎寺の方が遥かに歴史は古いから、灯台が最御崎寺の南側に建っていると言うべきだろう。

 

室戸岬の端をぐるりと回ったところに当寺へ登る道路があり、ヘアピンカーブをいくつも過ぎて標高約160mの高さにある最御崎寺の駐車場に到着する。

 

ここからはまた急な坂道を徒歩で歩いて境内に向かう。この日の室戸岬は本当にポカポカで汗ばむくらいだったが、山門前に到着した時はTシャツ一枚で十分な感じで、実際にそうしているお遍路さん(見た感じ、外国の方だったが)も見かけた。

 

せっかくなので、参拝の前に室戸岬灯台を見てきた。前回の遍路の際にも灯台を見に来たが、遠目にチラ見しただけだったので本格的には今回が最初となる。

観光用に色々な施設があるのかと思っていたら、最御崎寺の山門から少し降りた場所に灯台がポツンとたっているだけ。

ちょっと拍子抜けの感じもしたが、ここから見る太平洋は絶景だった。

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最御崎寺のこと


以前の遍路の際に印象に残っている札所はいくつかあるが、この最御崎寺はその中の一つである。

薬王寺を出て、2時間近く走ってここに着いた時、駐車場のお大師さんが出迎えてくれたこと。
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そして駐車場から境内への坂道と山門から見る境内のシーンは今でも記憶にしっかり残っている。
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さてこの最御崎寺の御本尊は虚空蔵菩薩だが、21番の太龍寺で上手く言えなかった真言は、ここでは何とかスムーズに唱えることができた。
このことは、最御崎寺の新たな記憶となるだろう。
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続いて津照寺(25番)へ

 

参拝を終えて駐車場に降りてくると、ここからも北西側(高知市内方面)の美しい景色を見渡せる。

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そして下まで降りて、改めて国道55号を走るがフェニックスの木が南国の雰囲気を醸し出す。

この先、次の津照寺までは遠い距離ではないし、さっきまでのポカポカで汗ばんだ体がライディングジャケットを拒否しているのでインナージャケットだけで走ってみることにした。

ちょっと肌寒い感じもしたが、それがまた心地いい。
 

さて次の津照寺は漁港・室津の小高い丘の上にあるが、この話は次回に持ち越すことにしたい。

 

 

(第4話・「空海」 終わり)

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