聖地巡礼のバイク旅

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「四国遍路ツーリング」再開(2)



次に向かったのは21番・太龍寺
鶴林寺を辞して、来た道を少し戻り、途中からはかなり整備された道を太龍寺の方へ向かう。
この道も川沿いに続く道だが、今回通るのは那賀川の川沿い。
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この那賀川だが、四国では最長で、全長が125kmという。吉野川や四万十川よりも長い。
そして「最も良好な水質」として清流四国一(四国地方整備局2006年河川水質調査)に選ばれたらしい。
つまり、四万十川よりも上だという事になる。たしかにその美しさを感じることが出来た。


ロープウェイで登るお寺

前述の通り、太龍寺は阿波国(徳島県)の札所の中でもベストスリーに入る高所にあるお寺である。
歩き遍路の場合は勿論、ロープウェイが建設されるまでは、自動車でも上ることが困難な参道であったらしい。

今でも自動車で境内の近くまで行こうと思えば行けるらしいが、舗装は狭く未整備でかなりしんどい道だとか。
これは先日、ハーレーでここを登った友人の談である。

さて、そのロープウェイだが全長が2,575m、高低差422mを約10分で繋ぐ。
料金は往復で2,470円。和歌山~徳島のフェリー片道よりも高い。
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ただ、このロープウェイはやはり値打ちがある。
一つはスピード、一つは健脚不要、そして最後に景色である。
高所恐怖症の方には申し訳ないが、窓の外には絶景が広がる。
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真下に見る四国ナンバー1の清流・那賀川、北側の山頂にはさっきまでいた鶴林寺の三重塔、逆側には弘法大師の修行像などが見える。
特にこの日はこれ以上ない晴天であった為、360度のパノラマが広がっていた。

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ロープウェイの駅から急坂の石段が迫る

寺院を参拝する際、普通は山門を通って本堂へ向かう。しかし、ここ太龍寺ではロープウェイを降りると駅の目の前に急な石段があり、その上に本堂がある。
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山門は右手のスロープを上がったところにあり、つまりこの石段は本堂へのショートカットコースとなっている。
ちょっと悩んだが、お遍路さん向けに整備してくれた「お接待」だと思い、石段を使う事にした。
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しかし、普段の運動不足はこんなところで効いてくる。下から見た感じはそうでも無かったが、いざ登ってみると息が切れる。
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本堂のご本尊は、虚空蔵菩薩。
この真言「のうぼう あきゃしゃらばや ありきゃまり ぼり そわか」は何度唱えても上手く言えない。
まだまだ修行が足りないと実感。虚空蔵菩薩さま、ごめんなさい。

壇上の本堂、大師堂共に彫刻が素晴らしく、ゆっくり見て回りたい衝動にかられたが、なんせロープウェイは20分毎しか運行していない。次の平等寺までは今日中に参拝しておきたいので、ここは先を急ぐことにする。
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続いて22番の平等寺へ

ロープウェイで麓まで戻ってきたのが午後4時前だったと思う。
ここから次の平等寺までは約20㎞の距離。30分程度で到着できた。

各札所の納経所は午後5時で終了となる。ちょうど、夕暮れ時に到着したが山門前にある駐車場から伽藍を見上げると実に美しい風景であった。
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しかし、ここも山門を経て本堂までは急な石段。もう脚はガクガクだが今日はここが最後だからと自分を叱咤する。
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外国人のお遍路さんに出会って感じたこと

四国遍路をしていると他のお遍路さんたちと言葉を交わすことが多い。
ここ平等寺では、ドイツから来られた男性のお遍路さんと少し話をした。
聞くと歩き遍路らしい。

ところで歩き遍路が本来の姿なのだろうが、まずは体力、次に時間の余裕、そして資金という三つが整ってないと出来ない。

特に資金について聞いた話だが、全て歩き通すと2か月近くかかる。つまり60日。
この間、ずっと格安の宿坊に泊まれたとして、1泊2食付きで7000円程度。

これだけでも40万円はかかる。ここに昼食代、御朱印代、お賽銭、交通費などを加えると100万円近い費用が必要になってくる。

お遍路さんがよく利用する旅館の御主人は、「ビジネスクラスで行くアメリカ2週間の旅行が出来ますよ」って仰っていたことを思い出す。
 
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しかし、今回の2日間で多くの歩き遍路さんを追い抜き、あるいはすれ違った。
また札所でお目にかかることもあった。

老夫婦が連れ添って歩いている姿や若い女性が一人で歩いているのも見かけた。
思いは人それぞれだと思うが、本当に頭が下がる。




この日の最終目的地は23番・薬王寺の宿坊へ

平等寺の参拝を終えたのは既に5時前であった。周囲はかなり薄暗くなっている。
この日の遍路はこれで終わりで、この後は宿泊の場所へと向かう。
宿泊地はなんと宿坊。これも人生初の経験だ。

この薬王寺の宿坊は有名なところでここを区切りにしているお遍路さんが多い。
区切りとは、ここ薬王寺は阿波の国(徳島県)の最後なので、この薬王寺を終えて宿坊に泊まり一旦は帰るパターン。

一方、この次(24番)は土佐の国(高知県)にある最御崎寺となるが、これは室戸岬にあり距離はここから約77kmとなるので、歩き遍路の場合は丸々2日間かかることになる。

つまり、ここで一泊してから発たないと2日間で最御崎寺にたどり着けない。
この「薬師会館」は温泉が併設してある宿坊なので、いずれにしてもお遍路さんには優しい。
なお温泉の入浴時間は午後9時までで、部屋にはお風呂はないのでこの時間までに入らないと入浴の機会を逃すことになる。

トイレも洗面所も部屋の外にあり、この点は不便。普段、出張が多くビジネスホテルに泊まる機会が多いので、これらと比較するとこの不便さには少し閉口してしまう。
こんなことを妻にLINEで愚痴ったら、「修行だと言って出かけたくせに何言ってんの」と一喝された。
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夕食も6時からが基本で、これはこれで構わないのだが、一つ心配があった。
それは「ビールが飲みたい」ということ。
結局、それは杞憂で終わって助かった感じ。
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あっさりとしたヘルシーな食事は、それなりにボリューム感があり、お腹いっぱいになった。
そして部屋に戻ったのは午後6時半。

ここからが長い夜になる心配をしたのだが、宿坊の方から明日の朝の薬王寺本堂での勤行に参加しませんかとお誘いを頂いたので、その通りさせて頂くことにした。
勤行は6時からなので、5時過ぎには起きておきたい。

そう考えると午後10時には床に入りたい。
結局、8時から温泉に入り、なんだかんだで10時には寝ることにした。
そして、次の朝の勤行は本当に得難い経験となった。


(第2話 終わり)

四国遍路ツーリング 「再開の章」第2話はここまでにします。
続きはすぐにアップしていきますので、引き続きよろしくお願いします。

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