聖地巡礼のバイク旅

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「寺社巡りツーリング」近畿36不動尊霊場 その4


 神戸までは順調だったこの日
 
1月21日の土曜日は朝から快晴でした。

一方、気温は低かったので、道路の凍結さえなければ予定通り、神戸方面の不動尊霊場を巡りたいと考えていました。
 
朝起きて、天気予報やら道路状況やらを調べてみると全く問題ない様子。
 
これは出発するしかないという事でまずは100万ドルと言われる神戸の夜景のメッカ、再度山(ふたたびさん)にある第9番の札所・大龍寺を目指すことにしました。
 
ちなみに、この再度山とは六甲山系の一つで、神戸元町の北側にあります。
 
この山の中腹、標高160mのところにある「ヴィーナスブリッジ」から見る神戸の夜景は言葉では言い表せないほど、幻想的でロマンチックなのです。
 
このヴィーナスブリッジは、まさしく恋人たちのメッカで、僕も学生時代に何度か行ったことがあります。
その時以来の実に30年ぶりの再度山で懐かしく感じながら阪神高速道路を西へ向かいましたが、いつもなら渋滞する阪神高速は最後まで順調でした。
 
 ▼船場あたり
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 ▼ここから神戸線に入ります
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 ▼我らが聖地!
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 ▼神戸市街地が見えてきました。右手には六甲山
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 迂闊だった第9番・大龍寺へのアクセス
 
阪神高速を生田川インターで高速を降りて、元町方面へ向かいます。
 
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途中、異人館などが立ち並ぶ地域を抜けて再度山へ上るドライブウェイの入り口に来てエライことに気づきました。
 
 ▼中央の看板の文字を見て下さい
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まさしく「ガ~ン」です。気絶しそうになりました。
バイクは“何でも”“終日”通行禁止!

そういえば、そうだったかも…
 
西国三十三カ所の札所の一つ、箕面にある勝尾寺へ上る道もバイクは通行禁止になっていて、そのことは知っていたので自家用車で行ったのですが…迂闊でした。
 
立ち止まっていても解決策は出てこないし、まさか違反覚悟でバイクで走るわけにもいかないし。
 
ふと思いついたのがバスの利用でしたが、冬の間はそのバスも運行停止中らしいのです。
そしたら歩いて登る? いやいや、そんな脚力は無いし、その準備もしていません。
 
万策尽きたかと思い、ふと「タクシーやったら幾らなん?」と調べてみると片道2000円くらい。
 
改めて自家用車で出直してくると高速の往復料金だけで2000円と考えるとかなり気持ちがグラつきました。
 
あとはバイクを停める場所を探すだけかと、これもふと思いついたのが、知り合いの薬局。

公私混同はいけないのですが、昔、ある薬局チェーンの人事管理の仕事をお手伝いしたことがあって、その薬局の店舗が近くにあることを思い出しました。
 
そこの店長さんに連絡してみると、再訪を歓迎してくれた上でバイクの駐車も簡単に了解してくれました。
 
ということで、今回のコンティンジェンシープランはタクシーという事で、ほんの10分くらいの距離でしたが人生初のタクシー巡礼という事になりました。
 
タクシーの運転手さん曰く、ドライブウェイのバイク通行禁止取り締まりはこの時期はやってないけど、道路凍結があって危ないのだとか。

途中、上るにつれてやはり凍結している部分があって、その通りだと思いました。
 
 
 
 
 さて、第9番の大龍寺へ

まずは立派な山門ですが、ここには"摂津八十八か所"、"摂津三十三ヵ所"、"近畿三十六不動尊"、"西国愛染十七霊場"などの文字があり、様々な札所になっていることが分かります。
 
 ▼山門
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さらには、"ぼけ封じ近畿十楽観音霊場"、"神戸十三佛霊場"、"神戸七福神めぐり"等の札所でもある古刹であることを後から知りました。

この後、この山門から前方に延びるスロープを登り、さらに石段を上ると中門が見えてきます
中門というか、仁王門ですね。
 
 ▼仁王門
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さらにそこから石段がまだ続いていて、その上にご本堂など伽藍がありました。
僕はもうこの段階で息は切れ切れ。
 
 ▼石段の途中にある西国三十三カ所の本尊の石仏
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これまでの巡拝で坂や階段には慣れたつもりでいましたが、まだまだ修行が足りません。
 
 ▼本堂(ご本尊は如意輪観世音菩薩)
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 ▼不動堂
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 ▼左から毘沙門天・大黒天・弁財天を祀るお堂
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少し間を置いたのですが、息も絶え絶えになりながらのボロボロの勤行となってしまいました。その後、階下の霊明殿にて御朱印を頂いたのですが、ここでちょっとしたサプライズが。
 
 ▼霊明殿を下から
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霊明殿にはご本尊と同じ観世音菩薩が祀られており、その右手には護摩堂らしきスペースと奥には不動明王がいらっしゃいます。
 
おそらく境内の本堂はあくまでご本尊を祀る場所であり、仏事や祈祷はここで行うという意味合いなのでしょう。
 
サプライズは、この霊名殿で起きました。
なんとお弁当のお接待を頂いたのです。
 
 
 
■ 四国に根付く「お接待」という素晴らしい文化

四国遍路の途中に、地元の方から施しを受けることがあります。
それを「お接待」と呼びます。

車やバイクで遍路をする僕に対しても、飲み物、お菓子、ミカンなどは何度頂いたか分かりません。
手編みの帽子や、ちょうど数珠が収まる大きさの巾着袋を頂いたこともあります。
 
お遍路さんに施すことで自身の功徳に繋がるという考え方らしいのですが、素晴らしい文化だと思っています。
 
 
今回、大龍寺で御朱印を頂くのを待っている間、シイタケの香りがするお茶を出して頂きました。外は雪が舞う天気の中、温かく大変美味しいお茶を頂いたのですが、さらにご住職から「どうぞ召し上がってください」という一言と共にお弁当と粕汁を頂戴しました。
 
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この粕汁ですが、霊名殿の奥の厨房で炊いて下さった様子で、僕自身、母が生きている頃に食べて以来、久しぶりに味わう懐かしい味でした。
 
ご住職曰く、「今日はお大師さんの日(※)やから。お接待ですわ。」という事だったのですが、本当に恐縮すると共に嬉しいという一言では表せない感激を味わうこととなりました。
(※そういえば、21日はお大師さんが入定された日でした)
 
 
「バイク禁止」の看板で心が折れそうになりましたが、別の日にしなくて良かったと心から感じました。
そして、この近畿36不動尊霊場を満願出来たら、また必ずお参りさせて頂きたいという気持ちを強く抱いています。
 
 
 
この後、無動寺(第10番)、鏑射寺(第11番)、中山寺(第22番)へ向かいましたが、この話は次回に持ち越そうと思います。
 
 
 
 
今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
 
 
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