聖地巡礼のバイク旅

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短編23「終戦の日に想う」

今日8月15日は「戦没者を追悼し平和を祈念する日」であり、政府は全国戦没者追悼式を開催した。

太平洋戦争で日本と敵対した国々における戦争終結の日とは、「9月2日(降伏文書調印の日)」など別の日に定めているようだが、わが国で終戦の日と言えば、天皇陛下(昭和天皇)の玉音放送により、前日(8月14日)に決まったポツダム宣言受諾及び日本の降伏が国民に公表されたこの8月15日を指すことが一般的だと思う。

 

祖父への思い

僕の母親の父(つまり僕の祖父)は徴兵により戦争に駆り出され、1944年6月にマリアナ諸島・サイパン島にて戦死した。

当時、伯母が4歳、母が2歳、叔父はまだ生まれて間もない頃であり、妻(僕の祖母)と3人の幼い子どもたちを残して戦地に赴いた祖父の心情を思うと心が痛む程度の話ではない。

今、祖父は靖国神社に祀られる存在であり英霊と呼ばれる一人だが、そんな誉より家族と一緒に暮らし、平穏な普通の人生を送ることが望みだったと思う。

 

僕は、東京に行く機会があれば、可能な限り靖国神社へ行くことにしている。

その度、祖父には「みんな元気で暮らしていること」「平和な日々を送れていること」を報告し、今の時代の平和の感謝を述べることにしている。

 

「戦争は絶対に許されることではないし、もう二度としてはいけない」

 

それは祖父を含め戦争で尊い命を散らした人たちの共通した願いであることに違いない。

この世に生を受け、今この時代を生きている一人として、その意志はしっかりと受け継いでいきたいと思う。

 

 

ある女性アスリートの話

先般、パリオリンピックで活躍した女性アスリートが、鹿児島県にある特攻隊の基地跡に設けられた戦争資料館を訪問したいと述べて話題になった。

彼女は「鹿児島の特攻資料館に行って、生きていることを、そして自分が卓球をこうやって当たり前にできていることというのは当たり前じゃないというのを感じたい」と述べたようだ。

 

僕は2年前にその資料館を訪問見学した。

それ以前に遊就館(靖国神社)や鹿屋航空基地資料館も訪問したが、そこで感じたことは、絶対に戦争の美化でもないし、その賞賛でもない。

僕を含め、これらの資料館を訪問した人の殆どは、どんな理由があろうとも戦争自体が過ちであり、どれだけ悲惨であるかということを学んだのだと思う。そして、多くの犠牲の上に今の平和があることを実感しているのだと思う。

 

すでに色んな意見が寄せられているようだが、彼女の気持ちを純粋に汲み取り、そしてその言葉を歪曲せず曲解せず、ましてや政治的に利用することのないように願う。

 

 

お盆の風習

さて、8月15日が終わった。

我が家(わが地域の特定の家系)の風習では、お盆の3日間(8月13日~15日)は外出せずにご先祖様と一緒に過ごす。

妻は、朝・昼・夜の3回、食事を作って仏壇にお供えし、3時にはおやつも供える。

 

2年前に息子が親より先に旅立ってしまったため、お供えする食事もそれまでの精進料理に加えて、ケンタッキーのフライドチキンやマクドナルドのハンバーガーが加わった。

おやつもかつては和菓子一辺倒だったが、今ではケーキもある。

まあ息子のことだからご先祖の皆さんに可愛がってもらっているだろうし、その息子が好きなお供え物ならご先祖の皆さんも文句は言わないだろうというのが妻と僕の共通見解だ。

 

そして15日の夕方、ご先祖様の戒名を記した経木を持って菩提寺に行く。つまり西方浄土へと帰っていくご先祖様の精霊を送っていき、お盆の3日間が終わる。また来年、元気で帰ってきてほしいと思う。

 

毎年、文句の一つも言わずお盆の3日間を取り仕切ってくれる妻には本当に頭が上がらない。

いつも本当にありがとう。

 

(おわり)

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